営業は見られる仕事だ。
時計や鞄、筆記具は、こちらが意識していなくても相手に伝わる。東京で働いていた頃は、その感覚が今よりも強かった。革のブリーフケースやドレスウォッチを持つこと自体が、仕事の一部のように思えた時期もある。
実際、良いものを使うと気分は整う。それは今も変わらない。ただ、札幌に戻ってから、その基準が少しずつ変わった。
環境が変わると基準も変わる
気候が違う。移動手段が違う。雪や雨の中を歩くこともあれば、車移動が続く日もある。
そこで優先順位が、「きちんとして見えること」から「仕事がしやすいこと」に静かに移っていった。
時計は、成人祝いでもらったSEIKOの金属ベルトのモデルを今も使っている。以前は革ベルトのドレスウォッチを冠婚葬祭用に用意していたが、夏場の汗や雪の日の水濡れがどうしても気になった。その点、金属ベルトは天候や汗を過度に気にせずに済む。些細な違いのようだが、毎日身につける道具としては大きかった。
Apple Watchを使っていた時期も長い。便利だったが、最終的には充電や通知に気を取られることが増え、機械式ではない時計に戻ってきた。時間を見るという役割に立ち返った結果だと思っている。(Apple Watchを手放した経緯は別の記事にも書いている。)
筆記具は、縁があって手にしたボールペンを使っている。ほしい物リストに入れていた一本でもあり、今はこれだけを持ち歩いている。万年筆も試したが、インクや紙質に気を遣う場面が増え、自分の働き方には合わなかった。今は、静かに操作できて、すぐ書けることを優先している。
鞄はポーターの3wayタイプを使っている。基本はリュックとして背負い、必要があれば手持ちにもできる。両手が空くことは想像以上に快適で、雪道でも安定する。以前使っていた革のブリーフケースは今も大切に保管している。好きな鞄だし、役割がある。ただ、日常の仕事道具としては、今の形が自然だった。
整える方向が変わった
以前は、整っていること自体に価値を置いていたように思う。
今は、気を遣いすぎないことを重視している。
ガジェット周りも同じだ。以前はポーチに小物をまとめていたが、今は電源アダプタとUSBケーブルをそのまま鞄に入れている。整然としていることよりも、毎日無理なく使えることを優先した。
営業という仕事の性質は変わらない。見られていることも事実だ。ただ、整える基準が少し変わっただけなのだと思う。
今の基準
新しい道具や高価なものに心が動くことは今でもある。良い道具は、やはり気分を整えてくれる。ただ、道具はあくまでツールだ。
持ち物を減らすことが目的ではない。
自分の環境に合った装備に整えること。
環境が変われば、基準も変わる。
その延長線上に、今の持ち物がある。

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